介護タクシーの手配で困ったとき、知っておきたい仕組み

制度解説

介護タクシー選びの煩雑さ

「施設に入居したら、通院の移動手段もお任せできると思っていました。」
そんな声を、ご家族からよく伺います。

実際には、定期的な通院のたびに「介護タクシーの手配をお願いします」と言われ、初めて自分で探すことになったという方も少なくありません。

インターネットで検索すれば、業者はいくつも出てきます。
けれど、いざ料金表を見ても、何がいくらかかるのか分かりにくく、電話をかけても「予約が埋まっている」と断られてしまう。そんな経験をされた方もいるのではないでしょうか。

今回は、介護タクシーの料金がなぜ分かりにくいのか、そして手配に困ったときにどうすればよいかについてお話しします。

料金表だけでは決められない理由

ホームページに載っている料金は、多くの場合「基本運賃」だけです。

けれど実際の費用は、これに車椅子やストレッチャーなどの機材使用料、部屋からの搬出や室内介助にかかる介助料、予約料や迎車料が加わって決まります。

ご本人の身体状況や、施設や家の搬出のしやすさによって、総額は大きく変わってきます。
そのため、ホームページの料金だけを見て決めることはできず、一件ずつ電話をして状況を伝え、見積もりを取るという手間がどうしても発生してしまうのです。

「なぜこんなに分かりにくいのだろう」と感じるのは当然のことです。

配車センターを活用してみる

何社に電話をかけても予約が埋まっていて、心が折れそうになることもあると思います。

そんなときは、一件ずつ探すことにこだわらず、地域の「介護タクシー配車センター」のような窓口に問い合わせてみるという方法もあります。多くがコールセンターが窓口となり、複数の事業者をまとめて扱っています。当日でも空いている車を探してもらえることがあります。

「車椅子で乗れる状態か、それともストレッチャーが必要か」
「施設の車椅子を借りるのか、介護タクシーのものを借りるのか」を確認しておくと、業者への説明がスムーズになり、見積もりのやり取りも一度で済みやすくなります。

障害者手帳をお持ちで自治体の「福祉タクシー券」を利用される場合は、その旨も事前に伝えておくとベターです。

乗車中、在宅酸素や点滴を利用したり、痰の吸引が頻繁に必要な場合は、まずそういった患者の搬送に対応できる業者の選定が必須となります。

費用を抑えたいときの選択肢と、その注意点

少しでも費用を抑えたいという場合には、NPO法人などが運営する「福祉有償運送」という選択肢もあります。民間の介護タクシーに比べて、料金が割安になることが多いようです。

ただし、利用するには事前の会員登録が必要です。法律上のルールで定められているため、「明日急に受診が決まった」というような緊急の場面では使うことができません。

もし定期的な通院が決まっているのであれば、早めに登録だけ済ませておくと、いざというときに選択肢が増えます。

おわりに

介護タクシーの手配は、仕組みを知らないまま向き合うと、思った以上に時間も手間もかかってしまいます。

料金の内訳が複雑なのも、予約が取りにくいのも、探し方が悪いからではなく、そういう仕組みだからです。

一人で何件も電話をかけて疲れてしまう前に、ケアマネジャーや施設の相談員に相談してみてください。地域や状況によって、思わぬ選択肢が見つかることもあります。

この記事を書いた人

社会福祉士資格を保有。

高齢者分野の相談員として勤務しながら
制度や支援の現場に関わっています。

家族の病気体験を中心に、
当事者としての経験と、支援職としての視点の両方から
わかりやすく情報をお届けします。

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