高齢者の尿路感染症はなぜ繰り返す?家族が知っておきたい原因と予防

制度解説

風邪の症状はないのに、突然38℃を超える高熱。

高齢者では、そんな発熱の原因として「尿路感染症」が少なくありません。
抗生剤を飲んで熱が下がり、一安心したと思ったら、数か月後にまた発熱。
「ちゃんと介護しているのに、どうして?」と不安になるご家族も多いと思います。

実は、尿路感染症は高齢になるほど繰り返しやすい病気です。
介護の仕方が悪いから起こるわけではありません。

今回は、高齢者が尿路感染症を繰り返しやすい理由と、自宅でできる予防についてお話しします。

高齢者が尿路感染症になりやすい理由

尿路感染症は、尿道から入った細菌が膀胱などで増えることで起こります。

高齢になると、膀胱の働きが弱くなり、尿を出し切れずに残ってしまうことがあります。寝たきりの方では腹圧もかけにくく、さらに残尿が起こりやすくなります。

また、尿取りパッドや紙おむつを使う時間が長くなることも、高齢者では避けられません。こまめに交換していても、どうしても細菌が増えやすい環境になってしまいます。

さらに、年齢とともに体の抵抗力や排尿機能も低下するため、若い頃より感染を繰り返しやすくなります。

つまり、「もっと清潔にすれば完璧に防げる」という単純な話でもないのです。

家でできる予防

もちろん、予防のためにできることはあります。

  • 水分をしっかりとる(※医師から制限されている場合を除く)
  • 尿を我慢しない
  • おむつや尿取りパッドを適切に交換する
  • 入浴できない日でも、陰部をぬるま湯などでやさしく洗い流す

トイレに行ける方であれば、ウォシュレットを活用するのも一つの方法です。ただしその際は、拭くときも流すときも、後ろから前へ細菌を引き寄せてしまわないよう注意が必要です。

ベッド上で過ごす時間が長い方には、ぬるま湯を入れたボトルで陰部を洗い流す「陰部洗浄」が効果的です。お湯でさっと洗い流すだけでも、パッドの中で菌が増えるのを抑える助けになります。

どれも大切なことですが、これらを続けていても尿路感染症になってしまう方はいます。

だから、「また熱が出たのは介護が悪かったから」と責める必要はありません。

「また熱が出た」が一番つらい

尿路感染症で本当に大変なのは、高熱そのものだけではありません。

受診の準備をし、予定を変更し、仕事を調整し、病院へ連れて行く。
それを何度も繰り返すことです。

「またか……。」と思ってしまうのは、ごく自然なことだと思います。

だからこそ、「絶対に繰り返さない方法」を探すよりも、
「また熱が出ても慌てない準備」をしておくことが大切だと考えています。

在宅介護では、訪問診療を利用できる方もいますし、専門医への通院が必要な方もいます。

ご本人の病気や生活に合わせて、「もしまた熱が出たら、まず誰に相談するか」を決めておくだけでも、ご家族の負担は少し軽くなります。

おわりに

高齢者の尿路感染症は、介護を頑張っていても繰り返すことがあります。

だからこそ、ご家族が一人で抱え込むと大変です。
予防できることは続けながら、それでも起きることはあると知っておく。

そして、困ったときに相談できる主治医やケアマネジャー、訪問看護師とのつながりを作っておくことが、大切な備えの一つだと思います。

この記事を書いた人

社会福祉士資格を保有。

高齢者分野の相談員として勤務しながら
制度や支援の現場に関わっています。

家族の病気体験を中心に、
当事者としての経験と、支援職としての視点の両方から
わかりやすく情報をお届けします。

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