三世代旅行の記録|がん治療中でも後悔しないために準備したこと

病気の記録

 

父母と私たち家族は、「夏休みはみんなで旅行に行こう」
と約束していました。

ですが、その後、ステージⅣの告知を突きつけられます。

「副作用との折り合いをつけて、旅行は予定通り行きたいと考えている」と
父母からは返事をもらったけれど、

私の頭から離れなかった思いがあります。

「もしかしたらこれが父の最後の旅行になるかもしれない」


私はどうしても後悔したくありませんでした。
必死で情報収集をして、宿に問い合わせたり、

移動手段や滞在中の過ごし方を一つずつ確認していきました。

そして、少し大げさかもしれないけれど、
「旅行のための下見旅行」をすることにしました。

旅行前の父のADL(生活動作)

参考までに、旅行前の父の状態です。

・副作用
   疲れやすさ、息切れ、ホットフラッシュ(火照り)
   骨が脆くなっている可能性

・筋力低下
   家の中ではゆっくり伝い歩き
   階段はゆっくりであれば昇降可能 
   外出時は母がさりげなく支えて歩行

・食事・入浴・排泄は自立

・午前・午後ともにベッドで休む時間あり

不快をできるだけ減らしたかった

体への負担。
移動のしづらさ。
周囲のちょっとした配慮のなさ。

そういう小さなストレスが積み重なると、
せっかくの旅行がつらいものになってしまうかもしれない。

もし本当にこれが最後の旅行になってしまうのだとしたら、

父が不快に感じる可能性のあることを
できるだけ減らしておきたかった
のです。

下見旅行で確認したこと

実際に現地に足を運んで、いくつかのことを確認しました。

・施設内の動線(階段や距離、移動のしやすさ)

・スタッフの対応や雰囲気

・体調に配慮が必要な人がいる場合の相談のしやすさ

病気の詳細までは伝えませんでしたが、
「足が悪い家族がいる」といった形で相談してみました。

そのときの対応や言葉の選び方、
ちょっとした気遣いの有無。


旅って人だなって思うんです。

どんなに設備が整っていても、
どんなに高級な宿でも、

そこにいる人の対応ひとつで、
安心にも不安にも変わってしまう。

逆に、多少の不便があっても、
人のあたたかさがあれば、それだけで満たされることもある。

だから私は、
「どこに泊まるか」だけでなく、
「どんな人がいる場所か」を見ておきたいと思いました。

タクシーアプリを準備する

歩行に不安のある父と旅行する場合、

いざという時すぐタクシーが呼べるかは、最重要事項の一つでした。

注意点は、必ず複数のタクシーアプリをインストールして
使える状態に初期登録を済ませておく
こと。

繁忙期やお天気によっては、タクシーが出払っていて「配車不可」に
なってしまうこともあります。

そのため、何社か手配先があると、とても安心でした。

ただし、旅先がタクシーアプリのフォローしている地域かは要確認です。

ちなみに、旅先がアプリ対象外の時は、
私たちは、あらかじめホテルのフロントや駅の観光センターで
地元のタクシー会社の電話番号を何社か聞いておき、控えておきました。

実際、タクシーの手配がスムーズでストレスがなくなると、
三世代旅行の自由度が上がる、と実感しました。

実際の三世代旅行

その夏、私たちは三世代で高原へ出かけました。

1泊目はグランピング。
家族6人で泊まれる棟を借りて、みんなで過ごしました。

外でお肉を焼いて、焚き火を囲んで話をして、
子どもたちは花火をして。

父の体への負担は少し気がかりでしたが、
「みんなで泊まりたい」と父も母も快諾してくれました。

結果として、とても楽しい時間になりました。


2泊目と3泊目は、同じエリアの温泉宿にしました。

選んだのは、オールインクルーシブの宿です。

世代が違うと、
食べる量、食べたいもの、過ごし方
がそれぞれ違います。

好きなものを、好きなタイミングで選べることは、
世代間のリズムの違いを解消し、
お互いに気を使い合う場面を減らすことができて、快適でした。

また、父母には部屋に露天風呂がついた部屋を。
私たち子ども連れはシンプルな部屋に。

父母が無理に外に出なくても、
部屋でゆっくり過ごせるようにしました。

父母のお部屋が食事会場から近いことや、
ホテルの館内で昼食を提供しているレストランがあること、
部屋の清掃を昼食のタイミングに合わせてもらえるのか、などは

下見で確認できていました。

実際に行ってみて感じたこと(反省点)

ひとつだけ、反省点もありました。

それは、部屋同士の距離です。
グレードの違う部屋を選んだことで、

結果的にお互いの部屋が離れてしまい、
行き来に若干の不便がありました。

もしまた同じような旅行をするなら、
部屋同士の位置関係などをもう一歩踏み込んで確認したいと思います。

まとめ

それでも、父も母も喜んでくれて、子どもたちも目いっぱい楽しむことができました。

その姿を見て、一生懸命考えて良かったと、心から思えました。

そして——

結果的にこの旅行は、「最後の旅行」にはなりませんでした。

ホルモン療法でPSA値が安定し、
リハビリを続ける中で少しずつ筋力も戻り、

今では父はまた別の場所へと旅を続けています。


あのとき勇気を出して三世代旅行に一歩踏み出したことも、
次の時間につながっていったのかもしれません。


これから同じような状況で旅行を考えている方にとって、
少しでも「できるかもしれない」と思えるきっかけになれば嬉しいです。



タクシーアプリのリンクも置いておきます。
全国で網羅している場所が圧倒的に多いのはGO
都市部なら、DiDiS.RIDEをサブでインストールしておくと、コスパよく混雑時にも対応できます。



次回は「進化するおじいさん」を書きます。


この記事を書いた人

社会福祉士資格を保有。

高齢者分野の相談員として勤務しながら
制度や支援の現場に関わっています。

家族の病気体験を中心に、
当事者としての経験と、支援職としての視点の両方から
わかりやすく情報をお届けします。

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