前回まで、前立腺がんステージⅣ診断後、筋力低下を改善するべく
父のリハビリ先を探して試行錯誤する様子を書きました。
今回は、ついに出会ったあるサービスについて書いていきます。
娘、ついに見つける
いろいろ調べていく中で、私はついに見つけました。
「ルネサンス運動支援センター」
なんとそれは、
がん患者の運動支援に特化したトレーニングをおこなっている支援センターだったのです。
「これだ…!!」そう思って詳細を見ていきましたが、
ひとつ問題がありました。
場所が大阪。
実家からはとても通える距離ではありません。
「やっぱり無理か…」
そう思ったのですが、ホームページを読み進めていくと、
ある文字が目に入りました。
「オンラインプログラム」
リモートでトレーニングを受けられる仕組みがあったのです。
コロナ禍で広がったリモート文化のおかげかもしれません。
「これなら出来るかもしれない」
そう思った私は、すぐに無料体験の申し込みをしました。
もちろん、父にはまだ内緒です。
まずは私一人で、
トレーナーさんとオンライン面談をすることにしました。
私が本当に必要だと思っていたもの
父に必要なのは、もちろん筋力トレーニングです。
でも、それ以上に
ずっと必要だと感じていたことがあります。
それは、
病気のことを気軽に話せる相手。
家族以外の誰かです。
父は副作用が辛い時、
「今日はこんなに苦しい」
「こんなところが痛い」ということを、母に言います。
けれど、不調の全てをなんでも気軽に言えるかというと、
どうでしょうか。
なぜなら母は、
とても真剣に受け止めてしまうからです。
母を必要以上には心配させたくない。
だからこそ、気軽に全部は言えない。
でも、話す相手は母しかいない生活。
それでは、気持ちがどんどん内側に溜まっていってしまいます。
母もまた、同じです。
父が病気になって
わからないことも、不安なこともたくさんある。
でも、それを気軽に相談できる人は
家族以外にはいません。
主治医はもちろん治療については丁寧に説明してくれます。
でも「生活のこと」「ちょっとした疑問」は相談しづらい。
例えば
「ビタミンDはとった方がいいですか?」
「人参ジュースって意味ありますか?」
そんな質問をしても、
医師はエビデンスのないことは言えません。
だから答えはだいたい
「飲みたければ飲んでもいいですよ」になります。
医師は悪くありません。
それが医師の役割です。
でも家族としては、
もう少し気軽に話せる誰かが必要でした。
トレーナーという存在
がんに特化したトレーナーなら、
・病気の知識がある
・運動指導ができる
・雑談もできる
フィットネスの時間の中で生まれる
ちょっとした会話や相談
それは、父にとっても母にとってもきっと大きな支えになる。
私はそう思いました。
田舎だからこそオンライン
もうひとつ、私には大きなメリットに思えたことがあります。
それはオンラインだったこと。
実家は田舎です。
小さなコミュニティーなので、
どこかに通えばすぐ噂になります。
でも、
・大阪の施設
・オンライン指導
・実際に町ですれ違うこともない
そんな相手だからこそ、かえって気軽に話せる。
生活圏が重ならない相手だからこそ
相談できることもあると思いました。
さらに、父は運動が好きではありません。
家が大好きな人でもあります。
できることなら一歩も外に出ずに生活していたいタイプ。
家から一歩も出ずに運動できるなんてまさに父にぴったりじゃない?
まとめると
・がん患者向け運動支援
・オンライン対応
・専門知識あり
全てが父の状況にぴったり合うサービスだったのです。
これにかけるしかない。
なんとかして利用まで漕ぎ着けたい。
そう強く思ったのです。
運命の初回オンライン
初回のオンラインは、私が1人で面談しました。
どんなリハビリを提供しているのか、父の状態でも受け入れてくださるか、
父に知らせる前に、確認しておきたかったのです。
対応してくれたYさんは、物腰の穏やかな女性でした。
父のがんの状況、私の懸念をうんうんと頷きながら
聞いてくださいました。
印象的だったのは、
「ホルモン療法は抗がん剤に準ずる体に負担のかかる治療ですから、
日常生活を送るだけで精一杯なのは、当然のことなのです。」
と、父の辛さをしっかり理解してくださったこと。
画面越しのYさんのその言葉に、私の肩の力がふっと抜けるのを感じました。
Yさんは続けました。
「気になるのは胸椎や骨盤の骨転移。
転移箇所は骨が脆くなっているリスクが高いので
胸椎だけ回旋させず、体全体を回旋させたり
伸展させることでリスクを回避していきましょう。
骨盤にはクッションを当てるなど、
なるべく物理的な衝撃を減らす方法もあります。
現在は猫背になっているとのことなので、
くしゃみなどでも圧迫骨折を起こすリスクが高い状態です。
体を起こすことができる状態を目指したいですね。
寝たままや椅子で取り組める運動もあります。
運動は副作用が楽な時間帯に行い、
少しでも副作用を忘れられる時間を増やすことが最初の目標ですね。
私は常々、父の筋肉量がどうなっているのか心配していたので、
「体の筋肉量を部位別に測定して、
数値で目標値を定めるのですか?」と質問しました。
Yさんの答えは非常に納得感のあるものでした。
「基本的には測定しません。
もちろん測定してもいいですが、落ち込んだりやる気がなくなるデメリットの方が大きい。
筋力も大事ですが、筋出力(実際に筋力を使いこなせる力)を高めることが大切なんです。
そして、数値よりも、最初はしんどかった運動が何回できるようになった、とか
「疲れにくくなった」とか「体が楽に動く」といった【体感】を大切にしています。」
まずはお父様のやる気がなければ始まりません。
次はぜひご本人を交えて一度お話をして、実際始めていくのか相談していきましょう。
安心して取り組んでいただけるよう、今日娘さんと話したような
ご説明を、お父様にも丁寧にしていきます。
とお話しくださいました。
Yさんのお人柄、提供してくださるリハビリの内容、
がんや副作用への深い知識と理解。
全て安心感がありました。
父もきっとこのリハビリを信頼して、はじめてくれるだろう。
初回の相談を終えた時、
私は静かな確信をかみしめていました。
参考までに、ルネサンス運動支援センターのホームページです。
大阪国際がんセンター内にある、がん患者さん専用の運動支援施設です。
専門資格を持つ指導士が、痛みや疲労など治療による不調を軽減するための運動をサポートしています。(HPより抜粋)
次回は、「運命のオンラインリハビリ 始動編」
を書きます。
前立腺がんステージⅣと診断されたときの医師の説明、治療方針についての記事はこちら
薬の副作用や筋力低下について(父の場合)の記事はこちら


