【前立腺がん】父のリハビリ探し・探索編

病気の記録

前回、診断後、父の生活のQOLの低下への懸念と
がん患者のリハビリの大切さに目覚めて燃えている娘。

娘はさりげなく、父に提案します。

「病気の人も、運動して筋力をつけるのが大事なんだって。
がん患者の体力や生活の質に良い影響があるとされているデータもあるんだよ。

WHOなどでもがん患者の運動は推奨されているみたい。
副作用が落ち着いてきたら、少しずつ生活に取り入れてみるのはどう思う?」

私がそう言うと、父はにっこり笑ってこう言いました。

「うん、運動は大事らしいね。
お父さんも、副作用で余計筋力が落ちやすいってわかっているから、
そう思ってた。

やらなきゃってちゃんとわかっているよ。
ありがとうね、娘よ。」

……うん。それ、絶対やらないやつです。

父の性格


父は昔から大の運動嫌いでした。

家族でスキーに行ったときも、
「なんでこんな罰ゲームみたいな動きづらい靴を履いて滑らなきゃいけないんだ」
と真顔で言っていたくらいです。

父はとても真面目で、よく働く人でした。

でも仕事のご褒美は、いつも「おいしいもの」。
旅行の楽しみも、やっぱり「おいしいもの」。

田舎暮らしなので移動はいつも車。

つまり、運動とはほぼ無縁の人生でした。


そんな父の

「少しは運動しなきゃなぁ」
「大事だもんなぁ」

という言葉は、若い頃からこれまで何度も聞いてきました。

でも実際に運動している姿を見たことは、ほとんどありません。

だから私は思っていました。
運動する場所に引きずっていくまでは、この言葉は信用できない。


ただ、その一方で悩みもありました。
この数年で父の筋力も体力もかなり落ちていました。

しかも治療の副作用もあります。

日常生活の動作だけでも疲れやすい状態なのに、
「運動、運動」と言い続けることが、父にとってどれだけ負担になるのか。

それを考えると、
どこまで介入していいのか?、娘として迷う気持ちもありました。

父のしんどさは、父にしかわからないからです。


それでも私は思っていました。

このままでは、父の筋力はどんどん落ちていく。
せっかくホルモン療法が効いても、
体が思うように動かなければ、毎日は楽しくないはず。

少しでも楽に体が動かせるように、

少しでも人生を楽しむ時間を増やせるようになってもらいたい。

父も母も目の前の治療と生活で精一杯な今、
おせっかいでもいい、動けるのは私だけなんだ、と。

幸い、表面上のリハビリの意志と同意は父本人からも母からも得られています。

そして娘はリハビリを求めて本格的に動き始めます。

まずは主治医に相談


もちろん主治医にも相談しました。
「リハビリってこの病院で受けられませんか?」

けれど、父が通っている市民病院では、リハビリは入院患者のみで、
外来(通院)のリハビリは行っていないとのことでした。

家族としては、病院でリハビリを受けられたら一番安心だと思っていました。
父の治療と連動して包括的に診てもらえる安心感があったからです。

でも現実には、通院でリハビリを受ける仕組みがない

「じゃあ、どこでリハビリすればいいんだろう?」

がん専門の病院リハビリは遠すぎる

では、別の病院のがん患者向けの運動プログラムはどうか。

そう思って調べてみたのですが、
私たちの住んでいる地域では、そうした取り組みはほとんどありませんでした。

同じ県内でも、県庁所在地の大きな街に行けば。
大学病院や大きな病院で
がん患者向けの運動プログラムがあるようです。

ただ、通うには遠すぎました。

次に考えたのはパーソナルジム

次に考えたのは、パーソナルジムでした。

父は自営業なので、地元で顔が広い人です。
少し姿を見せないだけで、
「最近見かけないけど、どうしたの?」
と声をかけられるような環境です。

田舎の小さなコミュニティーでは、
心配も好奇心もすぐに広がります。

別に悪いことをしているわけではありません。

でも父も母も、
病気のことを周りに知られたくない、という気持ちがどこかにあるようでした。

そう考えると、
地元の体操教室に通うという選択肢は
最初からほぼありませんでした。

知り合いに会う可能性が高いからです。

 

だからこそ考えたのが、民間のパーソナルジムでした。

少し割高にはなるけれど、父専属のトレーナーがついてくれるなら
無理のない運動を見てもらえるのではないか。

母とも相談して、前向きに
パンフレットを取り寄せたり、
ホームページを調べたりしていました。

ただ、結論から言うと、この案はうまくいきませんでした。

理由はシンプルで、

パーソナルジムのトレーナーさんには
がんや病気の知識がないからです。

もし父がそこに通ったら、
若くてはつらつとしたトレーナーさんに

「はい、あともう一回〜!!」と声をかけられながら
トレーニングすることになると思います。

でもその光景を想像すると、どうも違う気がしたのです。

せめて、父の病気のことを理解したうえで
トレーニングメニューを考えてもらえたらいい。

でも、民間のトレーナーさんに
そこまで求めるのは難しいのかもしれません。

最初の一歩が踏み出せずに、モヤモヤしながら1ヶ月ほど経過していきました。


同じ頃、友人に誘われてピラティスの見学に行きました。
ピラティスはそもそもベッド上のリハビリが源流になっている点や
高齢者でも状態に合わせて取り組める点、
寝たまま関節に負担をかけずに行える点が非常に魅力的でした。

父にも良いのでは、と思いましたが、
やはり実家の近所には通えるところがなく断念。


それからしばらくは、
父が前向きになってくれたタイミングで相談しながら

坐骨神経痛に効く簡単トレーニング、とか
10秒で腰痛に効くストレッチ、のような

ニーズに合いそうな本を厳選して送り、


電話で「何ページ目のストレッチが効いたよ」と情報交換したりしながら

自己流で少しずつストレッチに取り組む生活でした。

運動嫌いの父なのに、
長生きしてほしい娘のエゴを無理やり押し付けているのでは、と
悩みながらでしたが、

父とのやり取りの中で、父自身も自分の生活をより良くしたい、
もっと筋力をつけてまた旅行に行きたい、
そう思って動こうとしている様子が伝わってきました。

そんな中、ようやくひとつの選択肢に出会うことになるのです。




次の記事では
父のリハビリ探し運命の出会い編、を書いていきます。

診断内容と治療方針は、こちら

この記事を書いた人

社会福祉士資格を保有。

高齢者分野の相談員として勤務しながら
制度や支援の現場に関わっています。

家族の病気体験を中心に、
当事者としての経験と、支援職としての視点の両方から
わかりやすく情報をお届けします。

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