父は60代前半の時心筋梗塞で倒れ、緊急手術になりました。
連絡を受けて新幹線に飛び乗り、病院に着いたとき、
母は待合椅子で小さく震えるように座っていました。
手を握ると、冷たかった。
父の命のこと。
そして、明日からの生活のこと。
父は自営業の専門職でした。
代わりに母が店を開ければ済む仕事ではありません。
父の腕には、家族と従業員さんの生活がかかっていたのです。
この記事は、
家族が入院し、働けなくなったときの補償について、
自営業と会社員それぞれの制度を整理したものです。
医療費は守られている。でも、生活までは守られない。
日本の医療制度は本当に心強いものです。
高額療養費制度により、
医療費の自己負担には上限があります。
事前に「限度額適用認定証」を申請すれば、
窓口での支払いも抑えられます。
命を守る制度は、整っています。
けれど。
働けなくなったあとの生活費は、別問題です。
自営業の場合(本人の収入補償)
自営業者が加入する国民健康保険(一般的な市町村国保)には、
原則として傷病手当金(休業中の所得補償)はありません。
働けなければ、収入は止まる。
その一方で、
- 店舗や事務所の家賃
- 住宅ローン
- 光熱費
- 仕入れ
- 保険料
- 従業員への給与
固定費は続きます。
父が倒れたとき、
母が震えていたのは当然でした。
ただ、後から聞いた話があります。
父は同業者の共済保険に加入していました。
(※公的な社会保障とは別に、個人で加入する民間の共済・保険です)
大きな額ではなかったけれど、休業補償の給付があった。
「あれは助かった」と、母は話していました。
完璧な安心ではなくても、
“ゼロではない”ということは、大きかったのだと思います。
国民健康保険組合(国保組合)は独自補償ある場合も
国保と一口に言っても、例外もあります。
特定の業種で組織される国保組合に加入している場合は、
組合ごとに独自の補償内容があり、傷病時や就業不能時の手当や見舞金が
給付される場合もあります。
組合は弁護士税理士や建設関係、医師薬剤師や料理飲食、林業など
実に幅広い職域で組織されています。
まずはご自身の保険証で保険者を確認してみてください。
会社員の場合(本人の収入保償)
会社員には「傷病手当金」があります。
- 給与のおよそ3分の2
- 最長1年6か月支給
- 連続3日の待期後、4日目から支給
自営業より制度は整っています。
けれど、当然ながら給与満額ではありません。
期限もあります。
生活費が十分に賄えるかは、
それぞれの固定費によって変わってきます。
会社員の場合(家族の入院に伴う休暇)
余談ですが、家族の入院に伴う休暇取得の場合、
会社員であれば
看病休暇、介護休暇、介護休業などの
支給対象となる場合もあります。
休暇の取得権利は制度で定められていますが、
有給、無給などの規定はお勤めの会社の就業規則によって違ってきます。
ぜひ日頃よりご確認ください。
介護休業給付金は雇用保険から支給される給付金なので、
支給要件を満たしていれば、会社の規定に関わらず、
給付を受けることが可能です。
【まとめ】入院時の収入補償は自助努力が不可欠
万が一、自分や家族、パートナーが働けなくなった時
足りない分の生活費をどうやって備えておくか?
貯蓄でも、民間保険でも、それぞれの安心できる形、
日々の暮らしに合う形で構わないと思います。
まずは
• 自分の立場(市町村国保か、国保組合か、会社員か)を確認する
• いくら支給されるのか試算してみる
• 固定費を把握する
• 民間の共済や所得補償保険を検討する
• 家族と一度話しておく
それだけで、
不安の質は変わります。
あのとき、母の冷たい手を握りながら私は思いました。
日本の社会保障制度はすばらしい、でも万能ではない。
でも、知っていることと、備えていることは、
確実に人を支える。
この記事が、誰かの万が一への備えのきっかけに
なってくれたら、と願っています。
※入院や不測の事態を機に、貯蓄が底をついてしまったり
やむを得ず生活が困窮してしまった場合の
相談先やセーフティーネットについても
今後記事でまとめていこうと思っています。


